い草の農法

現在のい草の農法

除草剤・防虫剤を大量に撒いた「い草」の収穫後は、色のバラつきが目立つため、 泥染を行います。
泥染を行う理由としては、主に変色を隠すため、そして滑りを良 くすることが代表的です。

しかし、この泥染に使われる染土には着色料や、PM2.5 が大量に含まれているため、当然のことながら、部屋全体に害を放出することにな ります。そして、泥染を行う工場で働いている職人たちは、泥の粉塵を毎日のよう に吸い込むため、喘息や肺がんなどの症状を抱えてしまうのが今の現状です。
近年 では、脱泥染を訴える農家さんが少しずつ増えていますが、無泥染では、い草の渇 きが悪く、畳表が織れない問題も浮上しているため、そう簡単に実現できるもので はありません。

そして、実際のところ、畳の問題点は、除草剤や防虫剤だけに留ま らず、畳の生産過程にも潜んでいます。
それが畳の床に包む「防ダニシート」です。
この防ダニシートには、大量の殺虫剤を染みこさせたシートで、いくつかの公 団住宅では、この毒入りの防虫畳が義務付けられている例もあります。
これほどま で、本来の畳の良さが失われてしまっているのが、今の現状なのです。

現在の農法の問題点

日本人が長らく愛してきた畳には幾つか重大な問題点があります。まず一つ目。そ れが「農薬」です。
いつの時代から「い草の栽培」に農薬を使用し始めたのか、そ の時期は未だ明らかになっていません。
畳に使われる農薬の種類 は、主に除草剤、そして防虫剤の2つです。
これら2種類の農薬の用途は、害虫対 策、防カビ、殺虫剤、雑草駆除、除草剤で、これらの目的に用いられる農薬の使用 量は、い草栽培に関する農薬使用基準に基づいています。

しかし、本来、野菜等の 農薬使用に関しては規制値が設けられていますが、畳表には明確な規制値が設けら れていないこともあり、農家によって農薬の使用量は異なります。
これらの畳が住 民の家に持ち込まれることによって、室内で揮発的化学物質が発生し、様々な健康 被害をもたらしています。代表的な症状としては、吐き気や喉の乾燥、鼻水、湿 疹、頭痛、鼻水などの症状を慢性的に引き起こすシックハウス症候群です。

このよ うな問題は日本だけではなく、海外でも起こっています。海外(主にヨーロッパ、 アメリカ、アジア全土)に輸出される畳の9.9割以上は、台湾製、中国製であるた め、物によっては、防虫剤の汚染度が3倍以上であることが明らかになっていま す。日本国民、そして世界各国の親日家が愛する畳の現状は、これほどまで悪化し ている状況なのです。

無農薬の難しさ

熊本県・八代市では、様々な農家さんが無農薬い草の栽培を目指して活動されてい ます。中でも、故・山本一さんは、減農薬い草栽培、無泥染を特に推進していました。

い草栽培に関しては、キトサンを使った農法や、ジャンボタニシ、ワサビ粉 や、ニンニク、唐辛子などを用いて無農薬い草の実現に奮闘されましたが、全てが 無農薬になったわけではないということ、そして、山本さんが他界されたあと、そ の技術は八代に受け継がれていないのが現状です。

無農薬によって実現できること

現代では、自然農法やオーガニック、無農薬の栽培が特別な食材として扱われてい ますが、本来は、それらの農法が当たり前であり、人々の健康を支えてきたことを もう一度思い出す必要があります。
本来、自然の力だけを使って育った植物や食が 元気でエネルギーを持っています。それらの元気な植物と触れ合うことや、元気な 食を身体に入れることで、私たち人間は健康に生きてきました。

北九州市立大学が 研究発表したように、畳の上で勉強をするだけで子供の頭の良さに劇的な変化が見 られました。本来、自然なものの中に身を置くだけで脳波はアルファー波まで下が り、リラックスすることができます。この時、セロトニンが放出され、私たちの精 神は安らぐのです。

しかし、農薬や化学物質を身体に取り入れたり、鼻から吸い込 んでしまうと、有害なものが身体に侵入したと判断されるため、リラックス状態の 逆、つまりストレスだけが身体に蓄積されていくことになってしまいます。
これで は、日本人特有の精神の安定が実現できず、本来の能力も発揮できない、そして本 来の健康状態を手にすることもできません。私たちはこれまで、自然と共生してき た生き物です。

決して不自然と共生してきたわけではありません。本来の力を発揮 する、もしくは本来の健康を手に入れるには、私たち日本人が代々受け継いできた ものを再度、継承していく必要があります。
数千年間、私たち日本人が愛してきた 畳は、本来の日本人の生き方を教えてくれる大きなきっかけになるでしょう。

私たちが目指す未来

無農薬い草の生産をきっかけに、私たちが目指しているビジョンは「日本から世界 を変えること」です。
第二次世界大戦以後、欧米の文化が日本に輸入され、人々が 日本国の文化ではなく、最先端のテクノロジーを取り入れたり、グランディングが できない住宅に快適さを覚え始めています。

多様性を受け入れるという面では欧米 文化を取り入れることは一見良いものに見えますが、長期的な視点で見ると、本来 の日本人が取り入れたきた食文化を無くすことや、瞑想などの生活文化を消してし まうこと、そして畳や襖など、私たち日本人の豊かさを支えてきた文化をなくして しまうことは、かえって日本国の成長を止めてしまっているのではないでしょう か。

ポルトガル人が種子島に渡り、銃を伝えてから数十年後、私たち日本人はヨー ロッパ製よりも優れた銃を何十万丁も自ら考え、作ることができました。他にも、 日本の食文化を大切にしていた江戸時代には、300kgほどの米俵を女性1人が担い でいたことも明らかになっています。

教育水準が低下することで、GDPも同時に低 下していることが問題視されていますが、私たちが見つめなければならないのは、 最先端の教育や科学ではなく、私たちの先祖が昔から大切にしてきた文化を継承し ていくことなのです。
そのことができた時、第二次世界大戦以前の強い日本、健康 な日本、豊かな日本を取り戻すことができるのではないでしょうか。

「本当の豊か は外側ではなく、内側から湧き出てくるもの」です。
私たちは豊かになる方法、よ り幸せになる方法を既に熟知しています。そのことを代々、日本人は大切に守り続 けてきました。日本国は今、様々な社会問題を抱えています。
このような時こそ、 外側の情報や最先端の情報に頼るのではなく、先祖代々、日本国が大切にしてきた ことを継承する必要があるのではないでしょうか。

「日本から世界を変える」この 言葉をモットーに、私たちはこれからも活動を続けます。